
りました。
国民年金の保険料については、給付の改善も勘案して、平成7(’95)年度に月額11,700円とし、以降平成11(’99)年度まで毎月500円(平成6年度価格)ずつ引き上げることとしています。
また、国民年金の最終保険料は、月額21,700円(平成6年度価格)となるものと見通されています。
国民年金については、20歳以上の者にその加入が義務づけられており、現在約7,000万人が加入しています。しかしながら、193万人余りの未加入者もおり問題となっています。
年金の国庫負担割合の在り方も問題となっていますが、公的年金の「世代間扶養」という考えからも、当面は国民年金への加入促進策を強化するとともに、その上で場合によっては国庫負担を引き上げるということが検討課題とされていました。今回の改正では、改正法附則によって、次の財政再計算の時期をめどに総合的に検討を加えるとしています。
また、年金制度の先行きが不安だという議論がありますが、人口構成が高齢化していく以上、負担が今後増えていくのはやむを得ないことです。出生率の低下による少子化も高齢化社会と表裏一体の関係となっており、世代間扶養のバランスが崩れ、このままでは公的年金の財政が厳しくなるとされ、支給開始年齢を上げるか給付水準を抑制するかという年金政策をとらざるをえないわけであり、今回の改正では公平性の確保という観点から、ネット所得スライドという新しい考え方も組み入れられています。
公的年金は社会保障制度の基幹となっています。
国が所得を保障するために設けられた制度であり、各人が自分のために保険料を納めることが社会全体のためにもなっています。
公的年金は「年金制度」ではなく「年金保険」という保険制度であるといえます。所得の保障が貯金ではなく保険であるのは、我々が何歳まで生きるか予知できないからです。
ですから保険という形でみんなでリスクをカバーし合うのであり、若い世代が高齢者世代の面倒をみるという「世代間扶養」の仕組みなのです。(図22)
しかし、父母自身の老後生活の計画を立てるとともに、子どもや家族の安定した生活を考えるとまだまだ不安が多いと思われます。
そこで、障害基礎年金や公的年金を補完するものとして民間の個人年金、いわゆる自助努力による「私的年金」を考えていくことも選択肢の一つといえます。
公的年金と私的年金の比較や、どちらが得か損かということではなく、公的年金を主軸としながら各々のライフステージやニーズに合わせて私的年金も考えていくことが、より良い生活設計を組み立てるのに近づくこととなるといえます。
年金制度はわかりにくいといわれますが、まずは年金制度のシステムを理解して、自分の公的年金は現在どうなっているのかを知ることが大切であり、現在余裕があれば、経済的な面と不安
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